元々は英語が得意だった僕。
今までの海外旅行でもどうにかやっていけていました。
しかし、今回はちょっと違います。
僕の英語では明らかに「僕が伝えたい意味とは違って」相手に伝わってしまったのです。
相手は明らかに気分を害していました。
それまでは談笑していたのに、急に口数が少なくなってしまいました。
なぜそんなことになってしまったのか?
それは「逐語訳」が原因でしょう。
今回僕は、単に頭の中で日本語を英語にしたものを相手に言ったことで、相手を怒らせてしまいました。
この記事を読んだ人が、僕のような間違いをしなくなることを望みます。
言葉は難しい。
だからこそ楽しいんですけどね!
アメリカへ!
僕は、最初の海外旅行の行き先をアメリカにしました。
やはりアメリカだと英語が通じると言う安心感がありますよね。
アメリカでは比較的治安の良い地区に泊まっていた僕。
特に問題はありませんでした。
あまりタクシーを使いたくない派の僕ですが、やはり慣れない土地なのでタクシーはあてにしてしまいます。
僕はタクシー乗り場を探して、タクシーを捕まえます。
「ムリはしないでくださいね。」
3時から始まるミュージカルに間に合うだろうか…。
まあまだ開演までは時間があるだろう。
タクシーの運転手に、「どこに行きたいのか。」と聞かれたので、「〇〇劇場だ。」と答えます。
「何を見に行くのか。」
「ミュージカルです。」
「何時に始まるのか。」
「3時です。」
簡単な英語ですが、僕たちは軽快に会話をしていました。
タクシーの運転手が時計を見ると、2時。
僕は(時間的にも問題なさそうだな)と思いました。
タクシーの運転手は、「開演前だと人が多いから急ぐほうがいいかな。」と言いました。
僕は…僕は、そんなタクシーの運転手に言ってあげたかったんです。
「ムリしないでくださいね。」と…。
しかし、僕はそんな会話文を勉強した覚えがありません。
今思えば「テイク・イット・イージー」とでも答えればよかったのですが、僕には思いつきませんでした。
(どうにかして伝えたい…)と思った僕からひねり出された英語はこうでした。
「ドント・ドゥ―・インポシブル・シング!」
明らかにタクシー運転手の顔が引きつりました。
僕はよく分からなかったのですが、そこから会話は途切れました。
今思えば、怒っていたのでしょう。
その後、劇場に無事に着いて、そのタクシー運転手と別れました。
(何がいけなかったんだろう?)
僕はぼんやりとミュージカルを眺めていました。
あれほど友好的だったタクシー運転手が、急に無口になるなんて不思議です。
しかし幸運にも、ミュージカルの中に答えが隠されていました。
ミュージカルで、主人公が言います。
「そんなの、無理だわ!」
「無理じゃない!僕は出来る男さ!」
「無理」の反対語は、「出来る」「能力がある」だったのです!
無理するな=あなたにはその能力がない
タクシー運転手は、「不可能なことはするな」と僕に言われました。
すなわち、
- 「あなたには無理なことです。」
- 「あなたには不可能ですよ。」
- 「あなたにはその能力がありませんよ。」
と言う意味だと取られてしまった…。
僕が場をなごませるために言った「無理しないでくださいね。」は、「お前には無理だ!だからそんなのはするな!」と言うマイナスの意味にとられてしまったのです…。
僕としては、頭を殴られたような衝撃でした。
「逐語訳は意味がない」…。
帰国後知ったのですが、この場合の「無理しないでくださいね。」にあたる、はっきりとした英語はありません。
もちろん、きちんと訳せる場合もあります。
例えば、毎日夜遅くまで勉強している子どもに「無理しないでね。」と言う場合は「ドント・スタディ・トゥー・マッチ」です。
そのまま訳せば「そんなにたくさん勉強するな。」でしょうか。
僕は、いつも何気なく使っている言葉にも、民族性や、言い回しが介在していることに気が付きました。
他言語で発言する前に確認したいこと
他言語は、所詮他言語です。
どうしても母国語から訳せないこともあります。
今回の「無理しないでください」がその例でしょう。
日本では、「相手を思いやっていう言葉」です。
しかしこれを英語に逐語訳したところで、同じように「相手を思いやった言葉」になるとは限らないのです。
これは、日本語と英語の間だけで起こりうる問題ではないでしょう。
英語と中国語、中国語と韓国語など、あらゆる2言語間で起こりうる問題です。
すべての母国語は、他言語に訳せるのだと言う妄執はやめたほうが良いでしょう。
どんな言語にも「その言語だからこそ」発展していった「言語独自が持っている」意味の言葉があるでしょう。
アラビア語には「両手の、手のひらの中に納まる水の量」と言う一言の名詞があるそうです。
こうやって考えると…外国語を勉強することがますます楽しくなりそうですね!
皆さんも外国人と話すときに、ぜひ気を付けてくださいね!
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